先月、賞状技法士準1級の認定を受け、丸2年の賞状技法士養成講座の受講を終えたわっしーです。
書道自体、大人になってからはやっておらず、賞状技法士の講座も初めの1年間は通信講座で受講していました。
そんな私が賞状技法士養成講座を2年間受講しただけでは、1級試験は到底歯が立たないだろうことは容易に想像できました。
ですが、今年の賞状技法士1級試験を受けることに決め、11月3日の1級試験を受験してきました。
この記事では、
- このタイミングで賞状技法士1級試験を受験することに決めた理由
- 賞状技法士1級試験の概要
- 私がおこなった試験対策
- 試験当日の体験談(電卓使用目的でもスマホは使用不可だった!など)
を紹介します。
- 実用書道初心者の方
- 賞状技法士養成講座を受講中の方
- 初めて賞状技法士1級試験を受ける方
- 試験対策として何から手をつけたら良いかわからない方
は、よろしければ参考にしてみてください。
このタイミングで賞状技法士1級試験を受けようと決めた理由
明らかに受験するには早いと思われるタイミングで賞状技法士1級試験を受けることに決めた理由はこうでした。
です。
合格できるかどうかはさておき、
今の自分でできる精一杯のことをやりきって試験に臨むことで、今年受験しなかった場合よりも確実にレベルアップできると思ったからです。
自分で受験料を支払って、「試験」というプレッシャーを少なからず感じながらする勉強や練習は、受験しない場合と比べて本気度が全く違ってくると思いました。
賞状技法士1級試験の概要
まずは、実用書道検定「賞状技法士1級認定試験」の概要を紹介します。
令和5年11月3日(金)に行われた第35回実用書道検定「賞状技法士1級認定試験」の受験要項をもとに記載しています。
今後賞状技法士1級試験の受験を予定している方は、自分が受験する年の受験要項と注意事項などは、事前に最新の公式情報をしっかり確認しておくことをおすすめします。
試験日程
- 午前の部 10:00〜12:30
- 午後の部 13:30〜16:00
午前・午後に賞状を1枚ずつ作成し提出します。
試験会場
- 東京(東京都中小企業会館)
- 大阪(エルおおさか本館)
受験資格
学歴・年齢・実務経験などに制限はなく、誰でも受験可能です。
受験料
- 協会受講生・修了生 7,700円(税込)
- 一般 11,000円(税込)
出題範囲
下記の5つの中から2題出題されます。
- A3枠あり縦書き賞状
- A3枠あり横書き賞状
- A3枠なし縦書き賞状
- A3枠なし横書き賞状
- B4枠あり縦書き賞状
審査の程度
表彰状や感謝状などの各種賞状類を仕事として受注されたとき、
- 責任を持って引き受けられ
- 納品できるだけの高度な知識と技能を身につけているか
- プロの賞状技法士としてのレベル
が求められます。
審査のチェックポイント
- 筆力・字形
- レイアウト
- 誤字脱字
- 送りがな
- 文字の大きさ
- 字配り
- 墨色
- 全体の調和 等
合否の通知時期
11月下旬
認定証書の発行にかかる費用
1級合格者には「賞状技法士1級認定証書」が発行されます。
認定料は27,500円(税込)です。
その他注意事項
- 提出用の賞状用紙は試験問題とともに会場で配布(午前2枚、午後2枚)
- 辞書、テキスト、参考書類、練習用紙の持ち込み可
- 座布団や空気枕の持ち込み可
- ライトテーブル、パソコン、タブレットの持ち込み不可
- スマートフォンは電卓使用の目的であれば持ち込み可
私がおこなった賞状技法士1級試験対策
今年の賞状技法士1級試験について受験するかどうかを考えたのは、今年の8月上旬でした。
漠然と「ダメ元で、緊張感を味わうだけでも受けてみた方が良いのかなぁ」
といった感じで、レイアウトのことは授業で習った基本的なことしかわからない中、無謀とも言える考え・・
試験まで3ヶ月を切っていました。
【私の賞状技法士1級試験対策】
- 試験対策のための前準備
- 賞状作成の作業工程をノートにまとめる
- 自分の苦手分野を把握し、対策スケジュールを立てる
- それぞれの工程にかかる時間を毎回記録し、短縮を図る
- チェックリストを作り、精度を上げる
- 筆力アップのために賞状作例集をなぞって練習する
- 作例集や過去問のお手本をよく観察する
- 試験当日の持ち物で気をつけたいこと
それぞれ詳しく紹介していきます。
試験対策のための前準備
賞状技法士1級試験を受験するにあたり、まずは必要な準備をしていきました。
具体的には、
【試験対策の前準備】
- 各種レイアウト集を全て購入する
- レイアウトに必要な基本情報をすぐに調べられるように工夫する
- 机の上を整理して、レイアウト集や資料をすぐにストレスなく取り出せるように工夫する
- 表題や慣用句のお手本の字を見やすいように工夫する
などです。
「工夫する」とあるのは、試験は時間との勝負なのでスムーズに必要な情報を調べられるようにすることが大事だと思ったからです。
レイアウトに関することは、すでにファイルにまとめて見やすくしてありましたが、さらに整理し直しました。
また、清書するときにお手本の字を見やすくすることも、私にとっては大事な工夫のひとつでした。
例えば、表題なら
- 賞状
- 表彰状
- 感謝状
の字のお手本をすぐに取り出して見ながら書けるようにしました。
各種レイアウト集の他に試験対策で使用した資料は、
【試験対策で使用した資料】
- 賞状技法士1級試験の過去問題集
- 改定常用漢字楷書編
- 人名揮毫範例集楷書編
- 賞状作例集IとII
- 表外漢字字体集(改訂版)
- 賞状技法士1級試験誤字対策ハンドブック
- 賞状技法士1級試験レイアウト対策ハンドブック
でした。
「表外漢字字体集」と「誤字対策ハンドブック」は、昨年の試験対策筆力アップセミナーに参加したときにいただいたもので、
「レイアウト対策ハンドブック」は、今年のレイアウト対策セミナーに参加したときにいただいたものです。
「常用漢字楷書編」や「賞状作例集」のお手本はもちろんのこと、
セミナーでいただいた3点も非常に参考になりますし、今後も役に立つこと間違いなしだと思います。
すべて協会の公式物販サイトで購入できます。
賞状作成の作業工程をノートにまとめる
そうです・・
私はまだ一からどういう手順を踏んで賞状を作成していくのかが頭に定着していなかったため、問題の原稿を読んで何をしていけば良いかをざっくりと順番にまとめていきました。
頭に入るまではしばらくそのノートを見てやっていました。
具体的には、このような感じです。あくまでも私のやり方となります。
【賞状作成の手順】
- 原稿を読み、間違いやすい漢字や敬称、印鑑のサイズなどに丸をつける
- 受者・贈者の行数や書き出し位置を決める
- 主文を区切り、行数を決める
- レイアウト集を見て、各行の字幅や行間を決める
- 賞状用紙にレイアウト線を引く
- 下書きをする
- 清書する
この手順が頭に入るまでは、
「結構おっくうな作業ね〜」
と感じていたのが正直なところです。笑
今までレイアウト集を広げて自分でレイアウトを考えて線を引くという機会があまりありませんでした。
ですが、「こういうのは慣れだから、数をこなしていくしかない!」
と言い聞かせてなんとか続けていました。
というかこれをおっくうに思っていては、今後仕事になりませんからね。
すると気がついたときにはこのノートを見る必要はなくなり、自然とスピードもアップして苦手意識は無くなっていました。
自分の苦手分野を把握し、対策スケジュールを立てる
最低限の準備が整ったところで、まずは過去問を使い実際の試験と同様にやってみました。
時間を測ってやってみた結果、見事に2時間半では終わらず、仕上がった賞状の出来は散々なものでした。
ですが、そこから
- 自分はここが苦手なんだな
- こういうときのレイアウトがよくわからないな
ということがわかり、対策を立てることができました。
具体的には、
【苦手と感じたこと】
- レイアウトの基本すら知識不足のため応用がわからない
- 3行以上の受者欄
- それぞれの行に字をバランスよく収めること
- お手本がない中で書くということ
- 時間内に終わるようにペースアップすること
などです。
それぞれを克服するために、やるべきことをやろうと決めました。
苦手なことと克服の仕方
苦手なこと | 克服の仕方 |
---|---|
レイアウトの基本と応用がわからない |
|
3行以上の受者欄 | 疑問点は先生に質問 |
お手本がない中で書くということ |
|
それぞれの行に字をバランスよく収めること | 作例集をよく観察し、やってみるの繰り返しで感覚をつかむ |
時間内に終わるようにペースアップすること | 毎回各工程ごとに時間を測り、時間がかかっている工程の時間短縮を図る |
試験対策スケジュール
8月
(お盆明け〜) |
|
---|---|
9月 |
|
10月 |
|
練習の頻度について
筆力アップのために賞状作例集をなぞって練習する
お手本がない中、一から賞状を書き上げるのは本当に難しく、慣れるまでの仕上がりはひどいものでした。
お手本を見ながら書いているときとは違い、ものすごく力が入ってしまうのです。
今までも定期的にやっていたことなのですが、
私は、
- 力が入って上手く書けないと悩んだとき
- 筆力を上げたいと思ったとき
に、ライトテーブルを使って作例集などのお手本をなぞって練習をします。
なぞっていきながら、
- 力を抜いて書く
- 手の使い方、動かし方の感覚をつかむ
- 字形を確認して覚える
ということをやっています。
これがいいのか悪いのかわかりませんが、私の場合はこれをすることで、良い感覚をつかむことができます。
この良い感覚を頭と手に覚え込ませてから自分で書いてみると、字が良くなります。
作例集や過去問のお手本をよく観察する
お手本がない中、一から賞状を書き上げるときに難しかったことの一つが、バランス良く字を収めることでした。
例えば、一つの主文の行に
- ふた回り大きい字や
- ふた回り小さい字
があり、バランスが悪くなっていることがありました。
枠に対して、字が大きすぎたり小さすぎたりしてしまうのです。
その原因は、字によって
- 縦長の字なのか
- 横長の字なのか
- 小さめに書く字なのか
- 手足(払いなどの強調した画)をどのくらい左右に出すのか
などの意識が足りなかったからだと思いました。
この点に注目して過去問や作例集のお手本をよく観察し、それぞれの字の特徴を覚え、バランス良く字を収めることを目指していきました。
それぞれの作業にかかる時間を毎回記録し短縮を図る
2時間半という決められた時間内に賞状作成を終わらせるために、まずはそれぞれの工程にかかる時間を毎回記録していきました。
回数をこなしていくうちに作業自体に慣れていき、レイアウトの知識も深まっていき、自然とスピードが上がっていきました。
先生からは、
とアドバイスをいただいていました。
やっていくうちに、2時間で書き終えることができるようになりました。
【各作業工程にかかった時間の目安】
10〜15分 | 考える | 1.原稿を読む。間違いやすい漢字や敬称、印鑑のサイズなどに丸をつける |
---|---|---|
2.受者・贈者の行数や書き出し位置を決める | ||
3.主文を区切り、行数を決める | ||
4.レイアウト集を見て、各行の字幅や行間を決める | ||
30分 | 線を引く | |
35分 | 下書き | |
40〜45分 | 清書 | |
残り30分 | (レイアウト線、下書きを消す) |
2時間半以上かかっていた初回から考えると、かなりの進歩だとは思いましたが、
うっかりミスをしてしまうことがあり、
「これを試験でやってしまったら即不合格だなぁ・・なんとかせねば」
と思っていました。
チェックリストを作り、精度を上げる
うっかりミスとは、例えば
- 原稿の受者の敬称が「様」なのに「殿」と書く
- カギカッコを片方忘れる
- 肩書きの書き出し位置を間違える
- 賞名などの字幅を間違える
などです。
このようなミスだけは避けたいと思い、
- 受者欄
- 贈者欄
- 主文
- 全般
に分けてチェックリストを作りました。
このチェックリストは、
- 下書きを書く前
- 下書きを書いた後
に使いました。
チェックにかかる時間は、
- チェックリストに基づいてチェックをすること
- 下書き後に文末から3文字ずつ、誤字脱字をチェックすること
で、合計7分ほど追加でかかりますが、
これをするようになってからは、うっかりミスを防止することができるようになりました。
試験当日の持ち物で気をつけたいこと
試験中はとても緊張して、ものを落としたりするかもしれません。
席を離れずに自分で拾えるところに落ちてくれたら良いですが、コロコロと転がっていっては困ります。
また、鉛筆の芯が折れたりシャーペンの芯が出てこなくなったりしては困りますので、使う道具は2つ以上あったら安心だと思います。
私は試験中にスケールを落としました・・
2つ持参していましたが、試験監督をしてくださった事務の方が拾ってくださいました。
ありがとうございました。
賞状技法士1級試験当日の体験談
初めての賞状技法士1級試験の当日のことを下記の流れで紹介します。
- スマホ使用不可で開始早々に焦る
- やっぱりすごい緊張した
- 賞状作成にかかった時間について
- 座布団を持参しておいて良かった
- 肝心のレイアウトについて
- 今回の教訓
スマホ使用不可で開始早々に焦る
試験が始まる直前に説明があったのですが、衝撃の事実が判明・・
「スマートフォンの電源は切って、しまってください」
と言われ、なんとスマホは使用不可とのこと。
計算はスマホの電卓機能を使う予定で電卓を家に置いてきた私は、かなり驚き焦りました。
▼第35回実用書道検定「賞状技法士1級認定試験」の受験要項
受験要項の一番最後に、
※ライトテーブル・パソコン・タブレットの持ち込み不可。
※スマートフォンは電卓使用の目的であれば持ち込み可。
と記載があったのですが、実際にはスマホは使用不可でした。
「仕方ないので暗算で計算しよう」
と思いましたが、事務局の方が電卓を貸してくださり、一安心しました。
やっぱりとても緊張した
スマホの件で多少モヤモヤとしながらも、気を取り直して臨んだ賞状技法士1級試験。
緊張していることを実感すると、余計に緊張感が高まってしまうので、試験当日はなるべく平常心を装っていました。
ですがいざ清書するときになると、やはりとても緊張して体がこわばり、右手に変な力が入っていました。
そのまま書き始めると右手がプルプルと震えそうだったので、
- ゆっくり深呼吸してみたり
- 力を抜いてスラスラ書けるイメージをしてみたり
しながら緊張をごまかし、なんとか書き終えることができました。
賞状作成にかかった時間は
試験当日は、練習でしてきたようなペースで進まないことを想定していましたが、午前はほぼ練習通りで終わりました。
午後は、
- 迷って考える時間が長くなった分と
- 緊張で書くのに多少時間がかかった
のもあり、予定より長引きました。
ですが、普段から工程ごとに時間を測って練習をしていたので、時間がおしても焦ることなく自分のペースで進めることができました。
座布団を持参しておいて良かった
先ほどの受験要項に記載されていますが、試験会場の椅子は高さの調整ができないため、座布団や空気枕の持ち込みが可能になっています。
私は座高が高いので机が高くて困ることはないだろうと思い、当初持参する気はありませんでした。
ですが、硬い椅子に長時間座っているとものすごくお尻が痛くなってしまうので、念の為クッションを持参しました。
結果的には、机が多少高く感じたので持参して良かったです。
肝心のレイアウトは
午前の問題は、迷うことなくレイアウト作成できましたが、
午後はカタカナが多い主文の区切り方に迷ったため自信がありません。
なにしろ圧倒的に経験不足なため、午前の部も午後の部も、自分が気づいていない間違いを犯している可能性も大いにあります。
結果はどうあれ、やり切った初めての賞状技法士1級試験。
落ちて当然、
合格したら奇跡みたいなものなので、結果は気楽な気持ちで待ってみたいと思います。
今回の教訓
今回、賞状技法士1級認定試験を受験して教訓になったこと、今後受験予定の方にお伝えしておきたいことは、
ということです。
私が失敗した事例のように、1級試験の受験要項の一部がその都度変わってくることもあるかもしれません。
自分が受験する年の受験要項と注意事項などは、事前にしっかり確認しておくことをおすすめします。
当日慌てたり焦ったりすることがなく、落ち着いた気持ちで試験に臨みたいですからね。
長文失礼いたしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
実用書道を学び始めて今月で丸2年のわっしーです。 1年目は通信 2年目は通学 で賞状技法を学びました。 そして、2023年11月3日に受けた賞状技法士1級認定試験の結果が、今日届きました。 […]