今回は、日本賞状技法士協会の前田書法の特徴でもある細字の「逆筆」の書き方について紹介します。
実用書道初心者の私は、この「逆筆」が自分も書けるようになるのだろうかと受講前から心配していました。
まだまだ書き慣れず、常に基本を頭に入れて納得のいく「逆筆」が書けるようになるために、今回も基本的なことをまとめてみました。
この記事の内容はこちらです。
【この記事の内容】
- 前田書法とは
- 細字の「逆筆」とは
- 「逆筆」の書き方とコツ
この記事は、次のような人におすすめです。
- 賞状技法士の講座に興味がある方
- 受講を始めたばかりの初心者の方
そもそも前田書法とは?
前田書法について、日本賞状技法士協会のホームページから引用させていただきます。
前田書法は、前田篤信先生が中央官庁において永年に亘る揮毫体験から賞状など実用書に最も適した毛筆文字として考案されたものです。
その書風は、格調高く、力強く、筆勢あるのびやかな線と字形の美しさが特徴で、楷書の名跡「九成宮醴泉銘」を原型にしている為、書道経験がある人も、ない人も無理なく身につけられます。
賞状技法は、前田篤信先生が、20有余年に亘り中央官庁において総理大臣を始め各大臣名の賞状や辞令など10万枚以上に及ぶ揮毫体験から確立したもので、その書風は、中央官庁や学校を始め、各種協会・団体・企業等に幅広く採用されています。
その為、身につけた技能が各方面から受け入れられやすい事です。
引用:日本賞状技法士協会「賞状技法士養成講座の特徴」
前田書法について、下記にまとめてみました。
【 前田書法の特徴 】
- 20年以上、10万枚以上に及ぶ中央官庁での揮毫経験から確立したもの
- 楷書の名跡「九成宮醴泉銘」を原型にしている
- 実用書に最も適した毛筆文字
- 格調高く、力強く、筆勢あるのびやかな線と美しい字形
- 文字に貫禄を持たせ、安定感があるように見せるため、やや平たいのが特徴
- 左右対称ばかりでなく左側を強調している字が多い
- 「逆筆」を多用し順筆と組み合わせることで、点画の変化が多様化し、線質に鋭さが加わる
私が賞状技法の通信講座の受講をいろいろと検討したときに感じたことは、この前田書法がダントツで好みの書風だったということです。
筆を持って、実用書道として書くからには、活字に近い見慣れた雰囲気の文字よりは、古典的な雰囲気を持ったかっこいい字を書けるようになりたいと思いました。
それには、前田書法の特徴の一つでもある「逆筆」を書きこなす必要があります。
細字の「逆筆」とは?
細字の「逆筆」について解説していきます。
【 逆筆とは 】
- 始筆のときに進行方向とは逆に穂先を入れた後に送筆に移る運筆法
- 前の字や点画からの動きを受けて「逆筆」が用いられるときがある
- 必ずここは「逆筆」を使わなければいけないというものではない
- 一画目が縦画のときには「逆筆」を用いることが多い
そして「逆筆」を使う場面には、大きく分けて2つのパターンがあります。
逆筆のパターン① しっかりした逆筆
「逆筆」1つ目のパターンは、第一画目(または二画目)に用いられることが多く、始筆のときに進行方向とは逆の方向から筆を入れた後に送筆することで、文字の左上の部分の厚みと力強さを出すことができます。
逆筆のパターン② 軽やかな逆筆
「逆筆」の書き方とコツ
それでは、具体的にどのように「逆筆」を書いたら良いのか、
- 縦画の逆筆
- 横画の逆筆
- 斜画の逆筆
の典型的な例の書き方とコツを紹介していきます。
縦画の逆筆の書き方
- 穂先を45度にして、軽く紙を突くような気持ちで始筆
- 穂先を上に少し持ち上げ右斜め上に(紙から離さない)
- すぐに下に運筆する
【 縦画の「逆筆」の書き方のコツ 】
②のときに、穂先に戻してから右斜め上に運筆し、その後すぐに下に運筆する
横画の逆筆の書き方
- 右斜め上から軽く穂先を入れる
- 少し止まった後、はじめに穂先を入れた上を通り、右に運筆する
★左側は、縦に切り込んだ形ができあがる
【 横画の「逆筆」の書き方のコツ 】
①のときに軽く穂先を入れるのがポイント
力が入りすぎると穂先の弾力が強化されて、固まりの形ができるので注意する
斜画の逆筆の書き方
- 始筆を90度くらいの角度で軽く入り止める
- 左斜め下へ運筆する
【 斜画の「逆筆」の書き方のコツ】
②のときに穂先に圧を加えて(筆を突くようにして)から払う
まとめ
今回は、細字の「逆筆」について、その書き方とコツを紹介しました。
必ず逆筆を使わなければいけないというものではないようですが、しっかりと前田書法を身につけてお手本のような格調の高い、そして力強くも品のある字を目指していきたいです。
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