【細字楷書の字形の整え方】初心者が気をつけたい「横画の右上がり」の特徴とは?

細字楷書上達!字形の整え方「横画の右上がりをマスター」

この記事では、細字楷書の「字形の整え方」の方法の一つとして、「横画の右上がり」の特徴を知ってマスターすることを紹介していきます。

実用書道初心者が賞状技法を学んで孤独に練習をしていると、お手本と自分の字が違うのはわかっても、なかなか自分一人ではどこをどう修正していけばよいのかわからずに、漠然と書き続けることもあるかと思います。

今回は、そんな初心者の方向けに「横画の右上がり」に焦点を当てた「字形の整え方」について掘り下げていきます。

わっしー

【この記事はこんな人におすすめ】

  • 細字楷書を上達させたい方
  • 具体的な字形の整え方を知りたい方
  • 字の分析の新たな着眼点を持ちたい方

 

この記事でわかることは、

【細字楷書上達のためにマスターしたい「横画の右上がり」の特徴】

●横画の右上がりは3種類ある

  1. そる
  2. 真っ直ぐ
  3. やまなり

●一字の中で対応する横画の右上がりがある

●横画の右上がりで偏と旁のバランスをとっている

●横画の右上がりを強める3種類の画がある

  1. 特に長い右払い
  2. 戈法
  3. 乙脚

です。

お手本の字を見たときに、横画の右上がりがどのようになっているのかを見極めて、そっくり真似できるようにマスターしていきましょう!

 

▼ お手本を見て練習するときの心構え・目を鍛える、考える力を養うことについての記事はこちら ▼

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「横画の右上がり」は大きく分けて3種類ある

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がりは3種類

 

細字の楷書を書くときに「横画は右上がりで書く」と言っても、単純に右上がりの直線ばかりというわけではありません。

横画の右上がりは大きく分けて3種類あります。

【横画の右上がり3種類】

  1. そる(仰勢)右上がり
  2. 真っ直ぐ(平勢)な右上がり
  3. やまなり(覆勢)の右上がり

の3つです。それぞれ例をあげて詳しく見ていきます。

 

①仰勢(ぎょうせい)・・・そる

字の一番上に位置する横画を書くときは、少し反らせて右上がりに書く場合があります。仰勢(ぎょうせい)といいます。

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「三」
「三」という字の一画目は少し反って右上がりに書いています。
細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「法」
「法」という字の四画目も、少し反って右上がりに書いています。

 

②平勢(へいせい)・・・真っ直ぐ

字の中ほどにある短い横画は、真っ直ぐな右上がりで書く場合があります。平勢(へいせい)といいます。

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「三」
「三」の二画目は真っ直ぐ右上がりに書いています。

 

③覆勢(ふうせい)・・・やまなり

字の最下部にある横画や長い横画は、右上がりの後半は少しさげてバランスをとって書くため少しやまなりになります。覆勢(ふうせい)といいます。

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「三」やまなり
「三」の三画目は、右にいくにつれて右上がりの角度を小さくしていき、下がっている左側とのバランスをとっています。

3種類の「横画の右上がり」が一字の中にある字

「三」の他に、3種類の「横画の右上がり」が一字の中にある字の例をあげてみます。

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「王」
「王」という字は、一画目が反った右上がり、三画目が真っ直ぐの右上がり、四画目がやまなりの右上がりになっています。

 

一字の中で対応する「横画の右上がり」がある

細字楷書上達「字形の整え方」一字の中で対応する横画の右上がり

 

前述では、「横画の右上がり」の線が反っているのか、真っ直ぐなのか、やまなりなのかということを見てきましたが、ここでは一つの字の中に存在する「複数の横画の右上がり」の度合い、横画同士の関係について見ていきます。

一字の中で、同じ形が左右に対応している場合、左の横画は右上がり度合いが大きく、右の横画は左に比べて右上がり度合いが小さくなり、それによって左右のバランスをとっています。

 

【一字の中で同じ形が左右に対応している場合】

  • 左の横画は、右上がり度合いが大きい
  • 右の横画は、左に比べて右上がり度合いが小さい
  • 左右のバランスをとっている

 

例をあげて見ていきます。

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「開」
「開」という字は、門構えの左側の横画の右上がり度合いよりも、右側の横画の右上がり度合いのほうが小さくなっています。
細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「筒」
「筒」という字は、竹冠の左側の横画の右上がり度合いよりも、右側の横画の右上がり度合いのほうが小さくなっています。

 

「横画の右上がり」で偏と旁のバランスをとっている

細字楷書上達「字形の整え方」偏と旁のバランスをとる

 

前述では、一つの字の中に左右に同じ形が並んでいる場合の「横画の右上がり」について見ていましたが、ここでは左右に同じ形が並んでいない、偏と旁の「横画の右上がり」の度合い、横画同士の関係について見ていきます。

偏と旁の「横画の右上がり」についても同様で、左側の偏の「横画の右上がり」の度合いは大きく、右側の旁の「横画の右上がり」度合いは小さくなっていて、それにより左右のバランスをとっています。

 

【偏と旁の「横画の右上がり」の度合い】

  • 左側にある偏の横画は、右上がり度合いが大きい
  • 右側にある旁の横画は、右上がり度合いが小さい
  • 左右のバランスをとっている

 

例をあげて見ていきます。

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「知」
「知」という字は、偏の横画の右上がり度合いが大きく、旁の横画の右上がり度合いが小さくなっています。
細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「町」
「町」という字は、偏の横画の右上がり度合いが大きく、旁の横画の右上がり度合いが小さくなっています。
細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「村」
「村」という字も、偏の横画の右上がり度合いが大きく、旁の横画の右上がり度合いが小さくなっています。

 

「横画の右上がり」を強める3種類の画がある

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がりを強める画

 

前述までは、横画の右上がりの種類や、一字の中の横画同士の関係について見てきました。ここでは、横画の右上がりの度合いを強める画について見ていきます。

横画の右上がりの度合いを強める画は、字の中で右下部分に大きな比重を占める画であり、具体的には、長い右払い、右下に引き伸ばして跳ね上げる画、下におろし右に引いて跳ね上げる画です。

これらの画と接する、または交差する横画は、その字の右下に占められた重さとのバランスをとるように、右上がりの度合いを強め左下に重さを加えているように見えます。

 

【横画の右上がりの度合いを強める画】

  1. 長い右払い
  2. 右下に引き下ろして跳ね上げる画(戈法)
  3. 縦から横に引いて跳ね上げる画(乙脚)

 

例をあげて、横画の右上がりの度合いを強める画を見ていきます。

①特に長い右払い

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「夫」
「夫」という字は、最後の四画目は長い右払いになっていて、接する二画目の横画は右上がりの度合いが強くなっています。
細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「央」
「央」という字は、最後の五画目が長い右払いになっていて、接する三画目の横画は右上がりの度合いが強くなっています。

 

②戈法(かほう)・・・右下に引き下ろして跳ね上げる画

戈法とは、右斜めに引き下ろした線を跳ね上げる筆法のことです。

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「氏」
「氏」という字は、最後の右斜めに引き下ろして跳ね上げた四画目に大きな比重があり、接する三画目の横画の右上がりの度合いが強くなっています。
細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「武」
「武」という字は、右斜めに引き下ろして跳ね上げる七画目に大きな比重があり、交差する二画目の横画の右上がり度合いが強くなっています。

③乙脚(いっきゃく)・・・縦から横に引いて跳ね上げる画

乙脚とは、最終画に縦から横に引いた線を跳ね上げる筆法のことです。

細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「先」
「先」という字は、縦から横に引いて跳ね上げている最後の六画目に大きな比重があり、接する四画目の横画の右上がりの度合いが強くなっています。
細字楷書上達「字形の整え方」横画の右上がり「元」
「元」という字は、縦から横に引いて跳ね上げる最後の四画目に大きな比重があり、接する二画目の横画の右上がりの度合いが強くなっています。

 

まとめ

今回は、とにかく「横画の右上がり」に焦点を当てて、細字楷書の字形を整える方法を紹介しました。

単純に「横画は右上がりだ」といっても、横画同士の関係や、横画と他の画との関係で見ていくとわかることが増えてきます。

これらの「横画の右上がり」の特徴を知った上で、お手本と自分の字を分析して練習していくことで、より字形を整えやすくなり上達していけると思います。

わっしー
ぜひ参考にしてみてください!

 

▼ 今回のまとめ

【細字楷書上達のためにマスターしたい「横画の右上がり」の特徴】

●横画の右上がりは3種類ある

  1. そる
  2. 真っ直ぐ
  3. やまなり

●一字の中で対応する横画の右上がりがある

●横画の右上がりで偏と旁のバランスをとっている

●横画の右上がりを強める3種類の画がある

  1. 特に長い右払い
  2. 戈法
  3. 乙脚

 

▼ 細字の楷書上達のための記事はこちら ▼

 

 

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